絹本墨画淡彩風雨山水図

基本情報

  • 台帳ID: 201
  • 管理対象ID: 130
  • 種別: 絵画
  • : 中国
  • 時代: 南宋
  • 作者: 伝馬遠
  • 指定年月日: 1956年06月28日
  • 都道府県: 東京都
  • 所在地: 東京都世田谷区岡本2-23-1
  • 所有者名: 公益財団法人静嘉堂

出典: 国指定文化財等データベースより一部抜粋

概要

「絹本墨画淡彩風雨山水図(けんぽんぼくがたんさいふううさんすいず)」は、中国・南宋時代を代表する宮廷画家、馬遠(ばえん)の筆と伝えられる山水画の傑作です。現在は東京都世田谷区の静嘉堂(静嘉堂文庫美術館)に所蔵されており、日本の国宝に指定されています。

歴史的背景

作者とされる馬遠は、南宋の光宗・寧宗期に活躍した画院画家であり、夏珪(かけい)とともに「馬夏」と称される南宋山水画の双璧です。本作は古くから日本にもたらされた「唐物(からもの)」として珍重され、足利将軍家のコレクションである「東山御物(ひがしやまごもの)」にも通じる品格を備えています。中世以降の日本における水墨画受容の歴史においても極めて重要な位置を占め、室町時代の画家たちに多大な影響を与えました。

特徴と魅力

本作の最大の魅力は、タイトルが示す通り「風雨」の激しさを視覚的に表現した動的な描写と、洗練された構図にあります。

  • 辺角(へんかく)の景: 画面左下に重心を置き、残りの空間を広大な余白とする馬遠独自の構図が用いられ、対角線上の空間構成が嵐の勢いと奥行きを強調しています。
  • 斧劈皴(ふへきしゅん): 岩肌を斧で削ったような力強いタッチで描く技法が用いられており、荒々しい自然の表情を見事に捉えています。
  • 臨場感溢れる描写: 激しい風に煽られてしなる樹木や雨に煙る遠景の山々が、墨の濃淡と淡彩を使い分けることで詩情豊かに描かれ、風の音や雨の気配を感じさせる臨場感を生んでいます。
  • 余白の美: 東洋画における「余白の美」と「自然のダイナミズム」が高度に融合した、南宋山水画の精髄を伝える希少な文化財です。