木造阿弥陀如来坐像(院覚作)
基本情報
- 台帳ID: 201
- 管理対象ID: 3556
- 種別: 彫刻
- 国: 日本
- 時代: 平安時代
- 指定年月日: 2020年09月30日
- 都道府県: 京都府
- 所在地: 京都府京都市右京区花園扇野町
- 所有者名: 法金剛院
出典: 国指定文化財等データベースより一部抜粋
概要
京都市右京区の法金剛院に伝わる「木造阿弥陀如来坐像」は、平安時代後期の彫刻界で活躍した仏師・院覚(いんかく)の手による傑作です。像高は約2.2メートルに及ぶ丈六(じょうろく)の大像であり、極楽浄土の主である阿弥陀如来が瞑想にふける姿を表現しています。平安時代の洗練された美意識を象徴する優雅な作風が特徴で、2020年に国宝に指定されました。
歴史的背景
本像は、平安時代後期の1130年(大治5年)、鳥羽天皇の皇后であった待賢門院(藤原璋子)によって法金剛院が再興された際に、その本尊として造立されました。作者の院覚は、当時「院派(いんぱ)」と呼ばれた有力な仏師集団の中心人物の一人です。この時期は「末法思想」の広まりにより浄土信仰が全盛期を迎えており、待賢門院の深い信仰心と当時の高度な美術技術が結実し、この壮麗な阿弥陀像が誕生しました。
特徴と魅力
この像の最大の魅力は、定朝(じょうちょう)が確立した「定朝様式」を継承しつつ、院覚独自の繊細さが加わった表現にあります。
- 優美な定朝様式: 平安時代貴族に好まれた、浅く平行に流れるような衣文(ころものひだ)や、円満で穏やかな顔立ちが、極楽浄土の安らぎを感じさせます。
- 寄木造の技法: 複数の木材を組み合わせる「寄木造(よせぎづくり)」の技法が用いられており、大型ながらも軽やかで洗練されたプロポーションを実現しています。
- 繊細な彫り: 定朝の作品と比較して、衣の表現や顔の造形に院派特有の繊細さと鋭さが加わっており、平安時代後期の彫刻様式の変遷を知る上で極めて貴重です。
- 確かな由来: 待賢門院による造立という背景が明確であり、作者(院覚)が判明している平安時代の丈六仏として、歴史的・学術的価値が極めて高く評価されています。